株式会社Moguraでは、VR/ARやVTuber領域特化のコンサルティング・開発サービス「Mogura NEXT」を展開しています。これまでにも、培ったコンサルティング力を武器に、開発・調査・アドバイザリー等、幅広く企業や行政機関をサポートしてきました。本記事では、弊社がこれまでにお手伝いしてきた企業・組織へのインタビューを掲載。各企業や組織が抱えている課題に対して、Moguraがどのように関わり、どのような成果を返してきたかを紹介します。第1回となる今回は、一般財団法人 デジタルコンテンツ協会(DCAJ)、技術部 部長の須藤智明氏にお話を伺いました。デジタルコンテンツの制作・流通・利活用を推進するDCAJ――DCAJの手がける事業について教えてください。(DCAJの須藤智明氏。ゲーム会社勤務、DCAJの前身となる財団法人マルチメディアコンテンツ振興協会等を経て現職)須藤智明氏(以下、須藤):日本のコンテンツ産業の現状と課題を踏まえつつ、コンテンツ産業の最新動向や関連技術の調査研究、最先端コンテンツ関連技術の国内外に向けた発信の場であるデジタルコンテンツEXPO(DCEXPO)の開催、海外の展示会への出展や海外機関との交流をはじめとする海外展開支援事業などを実施しています。――DCAJの事業の中で特に大きなものは?須藤:いちばん知られているのはデジタルコンテンツEXPOの開催・運営でしょうか。弊協会の事業では「産業振興」のカテゴリに含まれるかと思います。他に目立つのは「デジタルコンテンツ白書」という、コンテンツ産業の市場規模を調査・公開する事業に取り組んでいます。デジタルコンテンツ白書は弊協会の継続事業として、年度ごとに発行しています。――デジタルコンテンツ白書は経済産業省が主導するプロジェクトではないのですか?須藤:最初はそうでした。経産省から「デジタル産業の市場規模がわかるような調査をしてください」ということで始まりました。最初はある程度の予算も付いていたんですが、途中から予算が付かなくなったんですね。ただ、予算が付かなくなってもこの事業は続けたほうがいいのではないか、ということで、自主事業に切り替えて継続しています。(コンテンツ産業の市場規模、産業動向等の現状を解説、紹介する「デジタルコンテンツ白書」。市場動向の推移は10年分を掲載)――須藤さんの所属部署・担当業務について教えてください。須藤:技術部に所属しています。経済産業省や総務省、内閣府などから調査事業や開発事業を受託し、委託先と協力しながらプロジェクトの推進を実施することが主な仕事です。事業提案のための企画立案やプロジェクトメンバーを選定することから始まり、受託後はプロジェクトの進捗管理業務や委員会の運営などを中心に行っています。今年度(2020年度)の事業としては、NEDOから受託した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期 ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術における「人工知能と融合する認知的インタラクション支援技術による業務訓練・支援システムの研究開発」や、先進的なコンテンツ技術を紹介するデジタルコンテンツEXPOの企画・運営業務を行っています。――デジタルコンテンツEXPO、今年(2020年)はオンライン開催になりましたね。須藤:はい、今年は新型コロナウイルスの影響で初のオンライン開催になります。初めてづくしで大変ですが、11月の開催に向けて全力で準備を進めています。(2020年のデジタルコンテンツEXPOは初のオンライン開催となる)――XR(VR/AR/XR)に関する、DCAJの過去の取組事例を教えてください。須藤:VRに関しては、廣瀬先生(※)や舘暲先生とブームになる以前から取り組んでおりました。例えば、私の担当ではありませんが、1998年から財団法人新映像産業推進センターで廣瀬先生と「領域型展示ビジュアルシステムの実証実験」ということで、愛・地球博(2005)に向けた情報提供の仕組みを研究していました。残念ながら実際の愛・地球博では採用されませんでしたが。また舘先生とは、2012年に「救助ロボット搭載用立体視機能の調査補助事業」(※PDF)としてテレイグジスタンスロボットとHMDを組み合わせたシステムの提案を行いました。※廣瀬先生…VR研究の第一人者であり、東京大学でVR教育センターの所長も務めた廣瀬通孝氏のこと。2020年3月末で定年退職。――2016年のいわゆる「VR元年」以前からVRには関わりがあるんですね。須藤:ちなみに初めてOculusのVRを体験したのは2013年、GOROmanさん(※)のところででした。ローラーコースターとMiku Miku Akushu(ミクミク握手、※)を体験させていただき「これはすごい!」と思い、その年のデジタルコンテンツEXPOに出展いただきました。※GOROman…株式会社エクシヴィの代表取締役社長、近藤義仁氏のこと。Oculus Rift DK1に魅入られ、2014年にはOculus Japan Teamを立ち上げ、OculusVR社の親会社であるFacebook日本法人の社員になる(2016年末退社)。※Miku Miku Akushu…“GOROman”近藤義仁氏が開発したVRシステム。Oculus Riftとフィードバックコントローラ「Novint Falcon」を使い、VR空間で初音ミクと握手ができるというもの。人づてに紹介を受けてMoguraに依頼――Moguraに仕事を依頼したきっかけを教えてください。須藤:御社に初めて依頼したのは経済産業省の「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(新たな社会ニーズを発掘するためのコンテンツ制作基盤・環境整備調査研究)」だったと思います。当時は調査に協力してくださる方を探すのもひと苦労で、エクシヴィさん経由で御社の代表取締役である久保田さんを紹介していただきました。(「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(新たな社会ニーズを発掘するためのコンテンツ制作基盤・環境整備調査研究)」。Moguraでは第2章、第3章、第6章の執筆を担当)――須藤さんが考える、XR(VR/AR/XR)の現状および課題を教えてください。須藤:ARと比較するとVRのほうが圧倒的に臨場感・没入感が上なのですが、VRは「ヘッドセットをかぶるのが面倒」という壁がやっぱり大きいですね。家庭向けに広がるよりもロケーションベースで高性能・高画質なVRを楽しむのが主流になるかと思いますが、今は新型コロナウイルスの影響でヘッドセットデバイスの使い回しが衛生面的に難しいなど、ちょっと停滞してしまっている感じですよね。家庭向きに関しても、新型コロナウイルスの影響でオンラインイベントが主流になる現状、もっと利用が増えるかと思ったのですが、予想していたほどには利用されていない気がしています。VRデバイスが十分普及していないこともあり、VRの展示空間を作るところまではいっても、それを普通のディスプレイ(非VR画面)で見ていることが多いのではないでしょうか。ARは工場や現場作業など、産業用途での利用が今後も広がっていくと思います。画像認識技術やAIの進歩に伴って、例えば文字を自動で翻訳したり、機械を認識して操作方法を指示したり、名刺交換した相手の情報を提示してくれるようになれば、生活に欠かせないツールとして、将来的にはスマートフォンに代わる存在にもなると思っています。ただ、スマートフォンのようにどこでも利用できるようにするためには、個人情報保護やプライバシー保護などとの兼ね合いが問題になるでしょう。あとはARデバイスならではのユーザーインターフェイスがまだ発展途上なので、それも課題でしょうね。空中に腕を上げて操作するのはハードルが高いというか、最適化されたUIが出てくるとまた状況も違ってくると思います。――VRやARの最新情報について、須藤さん自身はどこから仕入れていますか?須藤:もっとも情報を得ているのはTwitterでしょうか。ニュースサイトでは御社のMogura VR Newsを見ることがいちばん多いです(笑)。Moguraさん以外のVR系専門国内メディアって今のところあまりないですし。情報ジャンルとしては海外の市場動向がかなり需要がありますね。取引先とお話をしていても、海外の市場動向は必ず聞かれます。――本日はありがとうございました。VRソリューション導入・開発はMoguraにご相談を株式会社Moguraが運営する開発・コンサルティングサービス「MoguraNEXT」では、事業にVRを活用したいと考えている企業様向けに、VR/ARソリューションの開発・導入のご相談を承っています。VRコンテンツ/ソリューションを開発・提供するVR/AR企業へのご紹介はもちろん、弊社によるワンストップでのコンテンツ/ソリューション提供も可能です。ぜひ一度ご検討ください。「MoguraNEXT」の実績・資料はこちらからダウンロード頂けます。VR開発・コンサルティングのご相談は、こちらまでお願いいたします。(参考)映像産業振興機構「VR等のコンテンツ制作技術活用ガイドライン2018」