新型コロナウイルス感染症の対策として、対面での接触を伴わないオンライン会議・テレワークを導入する企業が増加しています。テレワークの形式の一つとして、オンライン会議以外にも有効と考えられるのが、VRやAR活用を活用した業務改善です。VR/AR領域については、2023年には1,606億ドル(約17兆円)の市場規模に達する見通しとの統計もあります。VRの普及に伴い、業務改善等で活用するシーンがさらに増えることも予想されます。この記事では、今後注目を集めるVR/ARによる業務改善・活用法を、具体的な事例を含めてご紹介します。【目次】1.ARを駆使したテレワークの業務アシスト2.VRの中で働く新しいワークスタイル3.店舗に行かずに“ARショッピング”4.バーチャル店員による“アバターワーク”5.自宅からでも参加できる“VRイベントスペース”1.ARを駆使したテレワークの業務アシストVR/ARを活用した業務改善としてまず注目したいものが、テレワークでの業務アシストです。マイクロソフトが展開する「HoloLens」というARデバイスは、透過型のレンズを通して現実にCG等のデジタル情報を表示することができます。・「HoloLens」イメージ動画【特徴・活用法・メリットなど】HoloLensの活用例の一つとして「リモートアシスタント」というARアプリがあります。下記動画のように、遠隔地のアドバイザーとリアルタイムで視界を共有。その状態で作業指示情報を視界に表示させるなど、必要な支援をハンズフリーで受けることができます。そのため、お互いが物理的に対面しないテレワーク環境での作業効率化に活用できます。このように産業利用を中心にAR技術を駆使した作業効率化・経費削減を図るための実験導入が進められています。・「リモートアシスタント」利用イメージ動画HoloLens対応のソフトには、ボーイング・GE・アクセンチュアといった大企業も利用しているARソリューション「Skylight」などもあります。・「Skylight」動画 2.VRの中で働くワークスタイルVR/AR活用として次に注目したいことは、VRの中で働くワークスタイルです。これを実現するためのソフトとして、建物などの3DCADをVR内で実寸で体験できるソフトウェア「SYMMETRY」などがあります。開発を行うSymmetry Dimensions社はNTTドコモと共同で、働き方に関する実証実験も行っています。【特徴・活用法・メリットなど】働く場所がVRの中になることで、対面での接触を伴わない働き方が可能です。そのため、昨今のような新型コロナウイルスなどの感染症対策となるほか、現実を模したVRの中でイメージ・デザインの正確な確認を行い、認識のすり合わせなど円滑なコミュニケーションも可能にします。・「SYMMETRY」動画多人数でVR内で働くシーンを想定し、VR内で音声メモを使って残した内容を多言語に翻訳する機能や、全てのユーザーを一か所に集めたり、特定のユーザーの位置へ移動したりといった、複数人でデザインレビューを行う際に便利な機能も使用できます。VR内で働くためのソリューションとしては「NEUTRANS BIZ」というソフトもあります。複数人が同時にVRの部屋に入り、物体や空間データを共有しながらコミュニケーションができます。・「NEUTRANS BIZ」動画【特徴・活用法・メリットなど】「ビジュアルイメージを共有しながら、複数人での遠隔会議に使いたい」、「VR空間で身振り手振りを交えながらブレインストーミングに使いたい」等の要望に応えるために開発されたVRソフトです。屋外の空間や大きな展示会場、1対1の面談用の部屋といったVRも用意されており、屋外でのデザインレビューや展示会、研修といった用途にも使用できます。実在の店舗をVR上に再現し、その中で顧客向けに店舗の紹介を行うほか、従業員向けに接客の研修実施もできます。これによりVRを活用した会議・研修・プロモーション用途での活用も行えます。自宅から出ずに“ARショッピング”AR技術を活用したショッピングも、今後注目したい購買スタイルといえるでしょう。アマゾンは、ARによって机の上や部屋の中に商品を”試し置き”できる機能「ARビュー」を提供しています。日本でもスマートフォン向けアプリ「Amazon ショッピング」で使用できます。ARで部屋の中に家具の試し置きが可能です。表示された商品の3Dモデルは、前や横など様々な角度から確認できます。商品を移動させたり向き変更も可能です。・「ARビュー」紹介動画【特徴・活用法・メリットなど】自宅にいながら、購入予定の家具の現実のサイズなどを知ることができるため、不要不急の外出を避け、家の中だけで買い物を完結することができます。Amazonの「ARビュー」では通販で家具等を買う前に、現物を現実空間に置くことで実際のサイズや置いた時のイメージなどを確認できます。購入の前に商品を部屋に試し置きすることで、返品率低下や顧客満足度の向上につながることが期待されています。Amazon以外の事例としては、IKEAのARショッピングアプリ「IKEA Place」もあります。様々な家具の3Dモデルを部屋の中にAR表示できます。部屋の中にAR表示した家具の様子を写真に撮ってシェアできるので、他者に意見を求める際などに使うこともできます。・「IKEA Place」紹介動画バーチャル店員による“アバターワーク”接客・小売業において、3Dアバター活用したバーチャル販売員など、アバターワークの領域にも注目です。KDDIは、VR内でバーチャルアテンダントが不動産物件を案内するコンテンツを開発しています。賃貸物件や建築予定物件の内見など、不動産とVRを組み合わせた試みは様々な会社が取り組んでいますが、この事例は上記の画像のような3Dキャラクターをアテンダントが動かして遠隔で応対するものです。音声での会話やお辞儀などのインタラクションを交えたコミュニケーションが可能となっています。大日本印刷は、エクシヴィ社と共同開発を行ったバーチャルキャラクターがリアルタイムに接客できるシステムを活用。小売店舗や商業施設などで接客やデモを実施しています。・「バーチャル接客」紹介動画【特徴・活用法・メリットなど】バーチャルキャラクターとなる人物はオフィスや自宅など、遠隔地から操作することが可能です。そのため接客業で不可欠と考えられていた対面接触を行わず、遠隔で安全にアバター業務を行うことができます。このほかにも、アドパック社らは「バーチャルプロショッパー・ソリューション」を提供。滋賀県のスーパーマーケット平和堂での3Dキャラのアバターを活用した遠隔接客事例(上記画像)では、プライベートブランド商品の販売数が前週比の約3倍になったとのこと。小売業界では店舗ごとの人手不足も課題となっており、ベテラン店員が、遠隔でどの店舗でも接客できることも、アバターワークの注目点です。VRイベントスペースVRの中で実施するVRライブ・バーチャルイベントも、将来的な普及が見込まれます。バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」はVR内に大人数が同時接続し、VRイベントに参加できるプラットフォームです。これまで多くのVRライブイベントで利用されています。PCや各種VRデバイスだけでなく、スマートフォンで使用できます。・「cluster」紹介動画【特徴・活用法・メリットなど】VRイベントは、「自宅からでも参加できることや、大人数が参加しても対面接触を伴わない」ことがメリットです。活用事例として、KDDIが開催した事業共創イベント「MUGENLABO DAY」では、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、現地でのイベントを中止し、VR内で開催を行う等で活用しています。下記から、イベントの録画を見ることが出来ます。・「MUGENLABO DAY」イベントアーカイブVRソリューション導入・開発はMoguraにご相談をVRを活用した業務改革は、今後さらに増えていく見込みです。とはいえ、VR/ARのソリューションは、既製品をそのまま導入すれば良いというものではなく、実際の現場に合ったものにするための新規開発が必要な場合があります。株式会社Moguraが運営する開発・コンサルティングサービス「MoguraNEXT」では、VR/ARソリューションの開発・導入のご相談も可能です。今回、紹介したようなVR/AR活用事例は、現在社会問題となっている新型コロナウイルス感染症の対策としても有効で、対面接触を伴わないVRワークスタイルの提案・開発なども可能です。「MoguraNEXT」の実績・資料はこちらからダウンロード頂けます。VR開発・コンサルティングのご相談は、こちらまでお願いいたします。