2020年現在、企業へのVR/AR技術の導入が進められています。製造業でも様々な活用方法が見出されており、研修や訓練をはじめ、設計時の時間短縮や作業ライン効率化など、その利用は多岐に渡ります。エアバス:航空機生産で設計工程の作業時間が80%低減フランスに本社を置く航空機器メーカーのエアバスは、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」を用いたアプリケーションを提供しています。このアプリケーションは研修やリモートでの協業、保守作業に関するもの。日本航空(JAL)などが導入しており、内容は保守担当の技術者やキャビンアテンダント向けのトレーニングプログラムとなっています。エアバスによると、デバイス導入のパイロットプログラムでは、VR空間での試験実施等により設計工程の作業時間が80%低減。また製造ラインでは、ワーカーがハンズフリーで指示書を確認可能なことがメリットである、としています。凸版印刷:労働災害を疑似体験できるVRコンテンツを提供凸版印刷株式会社は、製造業向けにVRでさまざまな労働災害を疑似体験できる「安全道場VR」を開発しました。VRを活用することで、高い効果を持つ教育を実施できます。「安全道場VR」は凸版印刷の持つVRコンテンツ製作の知見に加え、安全体感教育施設「トッパングループ安全道場」の運営ノウハウを活かして製作されています。「安全道場VR」は労働災害を再現した全7つのVRコンテンツを収録しており、内容はすべて実写。「カッター作業」や「ベルトコンベアの清掃」、「機械点検」など、作業者にとって身近な危険を体験することで、危機管理意識を高めます。ダイキン:安全性強化に向けたVR教育プログラムの開発ダイキン工業株式会社、株式会社シータ、株式会社ビーネックスグループの3社は、VRを活用した企業教育向けテストコンテンツを共同開発。開発したコンテンツで検証を重ね、データをもとに製造業における職場適応、および安全性強化に向けたVR教育プログラムの開発を進めています。体験者はVRデバイスを通して、現場作業における安全⾯での注意点や、作業遂⾏に関する習熟度の強化を、VRでシミュレーションが可能です。テスラ:ARグラスで製造ラインの作業効率化を図るアメリカのシリコンバレーを拠点とする自動車会社のテスラは、AR機器を利用した工数削減に関する特許を出願。本特許により、Google GlassタイプのARグラスを用いて、製造ラインに従事する従業員らの作業効率化を図る見込みです。本特許では、ARグラスで従業員に作業内容を述べた図解を提示、車の点検時の異常検出、製造ロボットが正しい位置や向きで設置されているかを確認できる、といった3つの機能が説明されています。AGC:生産スピード向上にARを試験導入AGC株式会社は、KAKUCHO株式会社が提供するAR技術「Web AR」の試験使用を発表。素材の組成開発を担う材料融合研究所と、素材の生産プロセス・設備開発を担う生産技術部の開発現場において、生産速度の向上などを図っています。「Web AR」は、専用アプリを開発することなく、Webブラウザ上でARを簡単に使用できます。スマートフォンやタブレットなどのデバイスを現場でかざすことで、開発設備をそのままの形状・サイズ感で現場風景に重ね合わせて表示可能です。これまで図面や仕様を共有するだけでは正確に伝えることができなかった現場のレイアウト・作業性・安全性等を設備導入前に明らかにできます。AGCは「本技術により開発者間のコミュニケーションを促進し設備開発のスピードを向上することで、素材開発全体のスピードアップに繋げていく予定です」とコメントしました。Flexsim:3DシミュレーションとVRで物流工程を最適化株式会社ゼネテックは、米国ユタ州に本社を置くFlexSim Software Products, Inc.の3Dシミュレーションツール「FlexSim」について、日本国内向けサポートを担当しています。FlexSimはFSPが開発する、ハイパフォーマンスなシミュレーションツールです。製造ラインや加工プロセス、物流倉庫などのシミュレーションモデルを、非常に軽量な3Dグラフィックを利用して構築し、モノ・ヒトの流れを計算します。これにより、製造や物流工程の最適化を図ります。神戸神鋼:VRトレーニングで効率的に学習イマクリエイト株式会社、および神戸製鋼グループの株式会社神鋼エンジニアリング&メンテナンスは、溶接VRトレーニングを共同開発しています。熟練者の手元の動きを3Dモデルで再現し、初学者が効率的に学習できるコンテンツです。VR研修の現場実証では、対象者を実技組とVR組に分け、組ごとの成長率を比較検証を実施た。VR組は、評価点数のバラつきが少なく、全員が一定レベルに到達できたことや、習熟スピードアップがあったことから、実技以上の習熟効果を確認できたとのこと。ドコモ・サン電子:ARで遠隔から作業支援株式会社NTTドコモとサン電子株式会社は、遠隔作業支援ソリューション「AceReal for docomo」を法人向けに提供しています。現場作業者がサン電子のARデバイス「AceReal One」装着し、現場の映像や音声を遠隔支援者にリアルタイムに伝送。遠隔支援スタッフは「ドコモオープンイノベーションクラウド」を介して、マニュアルや指示を書いた現場画像等をディスプレイ上に表示し、作業をサポートします。主な機能としてはビデオ通話やマニュアル表示、チェックリスト機能、支援者側からのファイル送信、作業映像の録画/再生、現場画像の加工編集などが搭載。製造業における製品の保守メンテナンス業務や、電気・ガスなどインフラ業における設備点検業務、農業におけるベテラン農家から新人農家へのノウハウ伝達など、さまざまな用途が想定されています。本ソリューションに関し、NTTドコモは「『AceReal for docomo』をご活用いただくことで、業務の効率化や出張コストの削減、また新型コロナウイルス感染症対策に有効であると考えております」とコメントしました。VRソリューション導入・開発・コンサルはMoguraにご相談をVRを活用した業務改革は、今後さらに増えていく見込みです。とはいえ、VR/ARのソリューションは、既製品をそのまま導入すれば良いというものではなく、実際の現場に合ったものにするための新規開発が必要な場合があります。株式会社Moguraが運営する開発・コンサルティングサービス「MoguraNEXT」では、VR/ARソリューションの開発・導入のご相談も可能です。今回、紹介したようなVR/AR活用事例は、現在社会問題となっている新型コロナウイルス感染症の対策としても有効で、対面接触を伴わないVRワークスタイルの提案・開発なども可能です。「MoguraNEXT」の実績・資料はこちらからダウンロード頂けます。VR開発・コンサルティングのご相談は、こちらまでお願いいたします。